要約の始め方:書き出しフレーズと例文
要約の書き出しは、多くの人がつまずく部分だ。しかし、どんな文章にも通用するシンプルな公式がある。このガイドでは、その公式・使えるフレーズ一覧・記事・本・小論文の具体的な例文を紹介する。
要約全体の書き方を確認したい場合は、要約の書き方ガイドも参照してほしい。
書き出し文の公式
要約の冒頭文には、次の3つの要素を盛り込む。
「『〔タイトル〕』で〔著者名〕は、〔主旨〕と〔報告動詞〕。」
例:
『使い捨て文化のコスト』でジェーン・ドーは、使い捨てプラスチックは長期的に節約よりも多くのコストを生み出すと論じている。
この構成により、読者は何を要約しているのか、文章の中心的な主張は何かを最初の一文で把握できる。
要約で使える書き出しフレーズ一覧
| フレーズ | 適した場面 |
|---|---|
| 『〔タイトル〕』で〔著者名〕は〔主旨〕を説明している。 | 解説系の記事・文章 |
| 〔著者名〕は『〔タイトル〕』の中で〔主旨〕と主張している。 | 主張が強い文章 |
| 〔著者名〕の『〔タイトル〕』によれば、〔主旨〕。 | 学術・報告文 |
| 〔著者名〕は『〔タイトル〕』において〔主旨〕を示している。 | 証拠・データが中心の文章 |
| 『〔タイトル〕』で〔著者名〕は〔主旨〕と結論付けている。 | 結論が主眼の文章 |
| 〔著者名〕は『〔タイトル〕』で〔主旨〕を分析している。 | 分析・考察系の文章 |
報告動詞の選び方
報告動詞(reporting verb)は、著者の立場をそのまま伝えるために使う。自分の意見ではなく著者の主張であることを示す。
- 説明する(explains) — 読者に何かを教える文章
- 主張する(argues) — 立場を明確にした文章
- 述べる(states) — 直接的な事実や主張
- 描写する(describes) — 物事の様子を説明した文章
- 示す(shows) — データや証拠を提示した文章
- 検討する(examines) — 問題を多角的に分析した文章
- 提示する(presents) — 情報を整理して示した文章
- 報告する(reports) — ニュース・調査結果
- 示唆する(suggests) — 慎重な結論・推測
- 結論付ける(concludes) — 最終的なまとめが主旨の文章
「信じる(believes)」「感じる(feels)」「思う(thinks)」などの感情的な動詞は、著者の主観を強調しすぎるため要約では避ける。
記事の要約の始め方
ニュース記事・ブログ・雑誌の場合は、公式を使って主題を一文にまとめる。
『なぜ10代の若者はもっと睡眠が必要か』で山田花子は、始業時間を遅らせることで学業成績が向上するという最新の研究結果を報告している。
その後、重要なポイントを1〜2文で追加すれば完成だ。
本の要約の始め方
本の場合は、中心テーマも示すとわかりやすい。
チャールズ・デュヒッグの『習慣の力』では、習慣はきっかけ・ルーティン・報酬という予測可能なサイクルに従っており、このサイクルを理解することが習慣を変える鍵だと論じられている。
個別の章を要約する場合も同じ形を使う。
『習慣の力』第3章でデュヒッグは、企業が購買データを活用して消費者の習慣を特定し、影響を与える方法を説明している。
小論文・学術レポートの要約の始め方
学校のレポートや小論文では、やや改まった表現にするとよい。
ブレネー・ブラウンの『本当の勇気』では、傷つきやすさと自己肯定感の関係が検討されており、自分の欠点を受け入れることが充実した人生の基盤になると論じられている。
冒頭文の後は、主要なポイントを論理的な順序で述べる。原文の文章をそのままコピーしない。
冒頭文で避けること
- 自分の意見から始める:「私はこの記事を読んで…」——要約の中立性が失われる。
- **原文の冒頭をそのまま写す:**言い換えること。
- **話題を埋没させる:**歴史的背景や定義から入らず、最初から要点に触れる。
- **文章外の情報を加える:**要約はあくまでも文章の中身だけを扱う。
- 一人称を使う:「私には〜と思われた」ではなく「著者は〜と述べている」。
AIで主旨を確認する
文章の中心的な主張がわからないときは、無料のAIテキスト要約ツールに文章を貼り付けてみよう。主旨を数秒で抽出してくれるので、書き出し文を作るのがずっと楽になる。
よくある質問
要約の書き出しを素早く作るには? 「『〔タイトル〕』で〔著者名〕は、〔主旨〕と〔報告動詞〕」という公式を使う。各要素を実際の文章に合わせて埋めるだけで、冒頭文が完成する。
著者名がわからない場合は? メディア名や組織名を使う。「〔新聞名〕によれば…」「〔組織名〕のレポートでは…」という形にするとよい。
「この文章は〜について書かれている」という書き出しは正しいか? 間違いではないが、情報量が少ない。著者名・タイトル・主旨を含めた方が、質の高い要約になる。
要約と書評の冒頭文の違いは? 要約の冒頭は著者の主張を中立的に示す。書評は自分の評価から入ることもできる。要約では常に中立性を保つこと。
タイトルのない文章の場合は? 「〔テーマ〕に関する記事で、著者は…」または「〔テーマ〕についての文章において…」という表現を使うとよい。
要約とは何かのガイドも合わせて読むと理解が深まる。